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クラウン・ブリッジ治療について

保険・自費に関わらず、できるだけ白い素材を
金属修復は見た目の問題のみならず、歯根破折や金属アレルギー、歯肉の変色などの弊害を生じます。したがってあまり採用したくなかったのですが、近年では従来まで保険外の素材だった白い素材が保険適用になり、まだまだ制限はありますが、メタルフリーを実現しやすくなりました。

 

当院では、近年保険適用となったCAD/CAM冠(ハイブリッドレジンというセラミックと樹脂の中間素材で条件を満たす歯のみ適応)とファイバーコア(審美性と柔軟性をそなえた補強の土台のこと)を導入しております。

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セラミックは菌を寄せ付けにくい

​新品の状態を遠めからみると、保険適応の樹脂(レジン)と保険外のセラミックの違いはよくわからないと思います。しかし、表面にミクロの凹凸が有るレジンは汚れやすく、細部まで平滑なセラミックには汚れが着きにくいという違いが、時間がたつにつれて明確になります。

冠自体は虫歯菌で溶かされることはありませんが、二次虫歯と言って、冠直下の歯根が虫歯になることがよくあります。また、歯周病菌が付着することで歯周病は当然進行しやすくなります。

 

現在、全国的なセラミックの相場は保険適用材料と比較するとの10倍前後の値段ですが、海外ではこの保険外の金額しかメニュー表に載っていないわけで、これが当たり前の金額です。日本の保険治療で用いる金属素材は、海外ではあまり使用しません。どうしても高価に思えますが、それ相応の良いものであると言えます。

保険・自費に関係なく、丁寧な施術を

日本の健康保険制度は、すべての人が治療を受けられる点では素晴らしいのですが、歯科においては上記のように汚れが付着しやすい人工材料しか選択できないルールがあります。しかも、日本の保険歯科治療は決して丁寧で良質なものではない傾向にあります。その理由のひとつは全国一律の保険点数です。多くの患者を短時間に素早く診察するほうが歯科医院の収入が上がるシステムであるため、ファストフード店のように回転率が高い方が収益が上がります。もともと素材が悪い上に、素早く適当に治療されたら・・・。私だったら心配になります。
 
保険冠が二次虫歯になったケースは歯肉の下まで虫歯が進行しているケースが多く、再治療で回数を重ねるほど、条件が悪くなります。当院で依頼されるのはこういった難しい再治療がほとんどです。
汚れがつきやすい保険の歯だからこそ、逆に丁寧に作製すべきだと当院では考えています。
 
写真は、保険か保険外かに関わらず、当院が冠の製作の際におこなっている、正確な治療のための「工夫」の一例です。
最終的に出来上がった冠のふちと歯根の隙間が20ミクロン(1mmの50分の1)以下であれば、現行の接着剤で封鎖することが可能であり、細菌が再び侵入するリスクは少ないとされています。当院では、どんな悪条件でもこの20ミクロンの精度を達成できるようにと、こういったひと工夫を大切にしています。

 

一般の方には良くわからないと思いますが、これらの「工夫」を省略したとしても冠は形にはなります。しかし、それが20ミクロンの精度であるかは別問題です。当院としては、とりあえず「ベストを尽くしたい」と言う気持ちで、毎回、この成功率の高い方法を選択しています。全国一律の保険点数なわけですが、多少の時間と経費がかかってしまうことは致し方ないと思っています。すぐにパパッと治療してほしいと言う人もいるかもしれませんが、こういった内情があることをどうかご理解ください。

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製作した修復物は「接着性レジンセメント」で装着

歯科治療において接着材料は非常に重要です。

1歯あたり60kgもの負荷がかかる咬合力、熱いお茶から冷たいアイスクリームまで食べる幅広い温度差、唾液と言う水分の存在。過酷な口腔内の環境において全く剥がれない接着を目指すというのはそう簡単なものではありません。ホームセンターで売っているような瞬間接着剤がいかに強力であってもすぐに取れてしまいます。

当院では、基本的に自院で製作した修復物はすべて「接着性レジンセメント」という強力な接着材料を用いて装着しています。写真の「スーパーボンド」や「パナビアV5」などの接着性レジンセメントは口腔内の過酷な環境においても非常に強力な接着作用を発揮する信頼性の高い材料です。

 

またセラミックの審美修復において接着材料の選択は非常に重要であり、当院でも色調タイプの違うセメントを用意して対応しております。

接着性レジンセメントは非常にデリケートな物質であり、操作方法を誤ると強力な接着力は得られません。具体的にはプライマーという下塗り塗料を塗布したり、サンドブラストという微小な粉を被着面に吹き付ける作業など、いくつもの前準備の工程を確実にこなして初めて接着操作に移ります。

そしてもうひとつの難点が「費用」です。といっても、患者さんにご負担いただく治療費が高いのではなく、歯科医院側が支出する材料経費が高いということです。保険請求上の17点(歯科医院側の収益として170円)だけでは大赤字になるため、保険治療においては接着性レジンセメント以外の安価な接着材料のシェアが圧倒的に高いという現状があります。

歯科修復物は、その後「からだの一部」になります。費用の問題もあり、私としてもいろいろと悩みましたが、自院で製作したものができるだけ永続的に安定してほしいという思いで、当院では接着性レジンセメントを選択するようになりました。

安定性の良い修復・接着というのは、そう簡単なものではありません。当院ではクラウンの調整も接着も必ず歯科医師が担当しますが、常に研鑽し新しい材料にも対応できるよう今後とも努力してまいります。

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石狩 うらた歯科
一連の治療は歯科医師が責任をもって施術します

歯を削る人、型を取る人、できあがりを調整する人、接着剤でつける人・・・、担当する人間が複数いることでミスに気づける環境を作るという考え方もあるのかもしれませんが、責任が曖昧になるという側面もあろうかと思います。精度の高い冠やブリッジを製作する作業は、そう簡単なものではありません。当院は小さな経営ですが、少数精鋭である分、歯科医師である院長本人が一連の流れを把握し、責任をもって施術できるような予約体制であると自負しております。患者数を制限することは、精度を高める上では必要なことです。

余談ですが、私たちの業界ではしばしば「免許」が問題になります。歯科医師以外に診察衣を着たスタッフがいて、「看護師」だと勘違いしている方もいるかもしれませんが、歯科では専門学校を卒業し国家資格を取得した歯科衛生士、そして片付けやセメントを練るなどのアシスタントをする歯科助手(特に資格は必要ない)の人が働いています。

歯科ではこれらの歯科医師以外のスタッフがどこまでの業務内容を担えるのかが、しばしば問題になります。法律の書き方のせいか、グレーな部分が多少なりとも存在します。たとえば歯科衛生士法という法律には「歯科衛生士は歯科診療の補助をなすことを業とすることができる」と記載されていますが、具体的に診療の補助がどの範囲まで可能かは記載されていません。また、歯科助手に関しては法律自体が存在しないため、「基本的に患者の口腔内には触れてはダメ」「でもバキュームで患者の唾液を吸うのはOK?」「患者さんに歯磨きの方法を説明するのは・・・?」というように、こちらも非常に曖昧な部分があるように思います。

 

見解が難しいところではありますが、当院は歯科医師会などの機関から指導された業務範囲基準を忠実に守れるように体制を整えています。現在、歯科衛生士が不足していることが全国的に大問題になっており、北海道内においての就業者数は、歯科医師が4500人弱であるのに対し、歯科衛生士は5100人しかいません。私のような個人開業医では人手を確保することすら難しい状況です。しかし、現代のインターネット社会では一般の人がさまざまな情報を閲覧できるようになりましたし、何よりもきちんと勉強した人が責任をもって施術にあたることは大切なことだと思っています。治療を希望する方が多いと、予約が先になってしまう場合もあるかと思いますが、どうかご了承いただきますようお願いいたします。

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